効果
てだすけ は変化技のなかでも用途が完全に一本化されている技だ。ダブルで自分の隣の味方を対象に使い、そのターンの味方の技の威力を ×1.5 にする。先制度は +5 で、実質ほぼすべての攻撃技より先に処理される。
この ×1.5 は独立した乗算区に属していて、STAB(×1.5)・タイプ強化アイテム・フィールド・天気とすべて重ねて乗算される。上書きはされない。具体的な数字で見てみよう。じしん はダブルでは全体技による ×0.75 の減衰がかかる。そこにてだすけを加えると ×0.75 × ×1.5 = ×1.125。全体技の減衰がまるごと帳消しになった上に単体火力より 12.5% 多く出しながら両端を同時に叩ける。ゴリランダー が通常 65% のダメージを与える相手には、てだすけ後は 97.5% に達する。85〜100% のダメージ乱数の下限でも KO が確定する数字で、普通なら高乱数か追加ダメージが必要だった場面をそのまま確定に変えてしまう。
Champions では ランクバトル に テラスタル・Zワザ・ダイマ がすべて存在しない。1ターン単位での火力増幅手段がもともと少ないこの環境において、てだすけはそのギャップを埋めるポジションとしてほかのルール以上に価値が高い。
シングルでは隣の味方スロット自体がないため、てだすけには対象がなく使用不可。シングル構築からは切り捨てて考えていい。
採用するポケモン
最優先枠:いたずらごころ 持ち。Prankster は変化技の先制度に +1 を付与するため、てだすけは先制度 +6 で動く。この水準になると実質的に割り込まれない。
- オーロンゲ:Prankster サポートの筆頭格。てだすけ・リフレクター・ひかりのかべ がどれも同じ技スロットに収まり、対面に応じた柔軟な選択ができる。Mega エースを軸にした構築では壁を張りながら火力を伸ばすという役割が自然に噛み合い、ほぼ自動的に採用候補になる。
- エルフーン:同じく Prankster。おいかぜ とてだすけのどちらを選ぶかは対面依存。速度差がゲームの勝敗を決める局面ではおいかぜ、1ターンの爆発力で特定の脅威を即座に処理する局面ではてだすけと使い分ける。
- トルネロス(いたずらごころ フォルム):Whimsicott と近いポジション。あまごい とおいかぜによってテンポの取り方の幅が広く、てだすけはその中のフレックス枠として機能する。
準優先枠:素早いが火力に乏しい汎用サポート。
- トゲキッス:素早さは中程度。てんのめぐみ による エアスラッシュ のひるみ圧力が相手の動きを制限するため、てだすけはひるみが機能しにくいターンに火力を補う役割で入る。このゆびとまれ とてだすけはリダイレクトか増幅かという選択で同じ枠を争う形になる。
- ピッピ:フレンドガード が隣接する味方の被ダメージを受動的に 25% 軽減する。てだすけと組み合わせると、攻撃役が受けるダメージを下げながら与えるダメージを上げるという二重サポートが1体で成立する。これを実現できるポケモンは少なく、実戦では過小評価されやすい。能力ポイント はすべて HP と防御方面に振る(各上限 32)。攻撃方面の振りは不要。
採用を見送るべきケース:エース本体(攻撃枠を消費してしまう)、環境の主流速度帯より大幅に遅いポケモン(先制度 +5 があっても行動順の不利が問題になるケースがある)。
使い方
ダブルの基本行動パターン:エースが最も強い攻撃技を出すターンに、サポートがてだすけを使う。先制度 +5 のてだすけが先に処理された後、エースの攻撃が ×1.5 乗算済みの状態で発動する。相手がてだすけを潰す手段は「対象のエースがまもるを選ぶ(エースのターンを消費)」か「てだすけの発動より先にサポートを攻撃する(先制度 +5 を超える攻撃技は実質存在しない)」のどちらかで、どちらの択も1ターン前にある程度読める。
ねこだまし 組み合わせ——T1 最強の始動パターン:1ターン目、ガオガエン が相手の最大脅威に ねこだまし を当ててひるみを発生させ、同時にサポートがエースにてだすけを使う。結果:ひるんだ相手は何もできず、エースは ×1.5 増幅された攻撃を妨害なしで打ち込む。この始動でKOが取れるか次のターンで仕留められる削りが入れば、相手が対応する前に数的有利を作れる。
対象の確認を徹底する:てだすけを選ぶ前に、そのターンのパートナーの行動と攻撃先を必ず確認すること。てだすけは威力を持つ技のみに効果がある。キノコのほうし や おにび などの変化技には乗算されず完全に無駄になる。全体技を使うターンに乗算するなら効率的だが、そのターンに相手のどちらをより削りたいかを先に整理してから選択する。
シングル:採用しない。対象がない。
コツと戦術
Prankster てだすけへの2つの確実な回答:
- ちょうはつ は変化技を3ターン封じる。Prankster であっても関係なく封殺される。オーロンゲ のような Prankster サポートの役割を認識している相手は攻撃より先に挑発を優先することがある。挑発を読んだら、てだすけを出さずにまもるか交代で対処する。
- サイコメイカー(サイコフィールド)は地面にいるポケモンへの先制度技を無効化する。重要なのは判定がてだすけを受ける側(エース)が地面に接しているかどうかで決まることで、使う側ではない。サポートが浮いていてもエースが地面にいればPranksterてだすけは無効化される。逆にサポートが地面に接していてもエースが浮いていればてだすけは通る。この判定方向を逆に覚えると実戦で損をする。確認してから動くこと。
全体技との乗算の整理:先述のとおり ×0.75(全体技減衰)× ×1.5(てだすけ)= ×1.125。増幅なしで単体を殴るより 12.5% 多く出しながら両方の相手に同時にダメージが入る。両サイドを削らないとエースが動けない耐久寄りの構築を相手にするときの効率が特に高い。
Mega 軸との連携:ゼンブイリング ルールでは各チームに Mega(メガストーン 所持)は1体のみ。Mega はほぼ必ず構築の主要な火力源になる。サポート枠を Mega がメインウェポンを打つターンに合わせてのみてだすけに使う動きは、実際に通らなくても「通るかもしれない」という圧力として相手のターゲット選択に影響を与える。
サポートの 能力ポイント 振り方:てだすけ役には攻撃への振りは一切不要。HPと防御・特防に全振りし(各上限 32)、素早さは自分が先に動く必要がある相手を抜けるボーダーラインまでしか振らなくていい。技自体の +5 先制度がほぼすべての行動順の問題を解決するため、てだすけ役の素早さが制約になる場面はほとんどない。
初心者がやりがちなミスの解剖:てだすけを選んだターンにパートナーがまもるを選択した——増幅がまるごと消える。このミスはほぼ毎回「相手がエースを攻撃しそうだからエースはまもる、でもてだすけも使いたい」という矛盾した判断が同時に走ることで発生する。答えはシンプルで、てだすけとまもるは同じターンに共存できない択だ。エースがまもるを選ぶべきと判断したなら、てだすけ以外の行動を選ぶ。てだすけを選ぶなら、エースがそのターンに攻撃を打てるという読みを前提にしている。この2つの判断を切り離して考えるだけで、無駄増幅の発生率は明確に下がる。