効果
わるだくみ は使用者の特攻を2段階アップさせる、つまり以降の特殊技すべてに ×2 の倍率が乗る。Champions の 能力ポイント システムでは、各ステータスの努力値上限は32、個体値は31固定、レベルは50固定——つまり相手はバトル前の段階でこちらの火力上限をほぼ正確に計算できる。わるだくみ を使った瞬間、その計算式ごと無効化される。
実数で確認する。 ゲンガー がLv50で特攻に満投資した場合、実数値はおよそ 167。わるだくみ 後は 334 になり、ゴーストタイプの技に STAB ×1.5 を乗せると等価攻撃力は約 501。特防 120・HP 140 前後(クレセリア の標準投資に近い値)の相手に対して、もともとおよそ6割ダメージだったものが確定1発になる。さらに重要なのは「1発耐えて交代する」という選択肢がまるごと消えることだ。これが わるだくみ の本質——単純な火力アップではなく、相手の防御ルートを丸ごと崩壊させる変化だ。
ダブルバトルでの補正は頭に入れておくこと。範囲技(ねっぷう、マジカルシャイン)はダブルで ×0.75 になる。わるだくみ 後の範囲技ダメージは、強化前のシングル単体攻撃のおよそ 1.5 倍相当になる——十分に強いが ×2 ではない。KOラインを読むときに数字を混同しないよう注意しよう。
採用するポケモン
わるだくみ の使い手として優秀なポケモンは、次の3つのうち少なくとも2つを備えている:高い特攻種族値、広い技範囲、セットアップターンを自力で確保する手段。
ゲンガー:素早さ 110 によって、ほぼすべての交代先より先に動ける。ゴースト/どくタイプはノーマルと地面を無効化するため、相手が交代してくる場面で自然とセットアップの隙が生まれる。ゴースト/格闘/どく/あくの技範囲はほぼ死角がない。ゼンブイリング で メガシンカ を発動すると特攻が 130 から 170 に跳ね上がり、わるだくみ と重ねると実質 340——その特防帯を耐えられるポケモンはほぼ存在しない。
ラブトロス:フェアリー/ひこうタイプで じしん を無効化する。じめんと格闘の物理アタッカーが最もよく使うダメージソースを一つ消せる、ということだ。この無効化が相手の「交代して圧をかける」という最頻出の返しを封じ、わるだくみ の隙を作り出す。フェアリー STAB はドラゴンとあくに刺さり、ひこうと氷の技範囲を加えればほぼ全ポケモンをカバーできる。
テツノブジン:フェアリー/格闘、環境トップクラスの素早さ。ムーンフォース / きあいだま / シャドーボール の3点カバーはほぼあらゆる耐性の組み合わせを貫通する。わるだくみ 後は特防が並以下のポケモンはすべて射程に入る。素早さ依存の動きが基本で、相手より速ければ積んでから殴る、遅ければ交代の隙を作ることが前提になる。
ダークライ:ナイトメア と先制催眠を組み合わせてセットアップ時間を強制的に作るのが定番ライン。Champions の眠り継続ターンは最大3ターン——無限ではないから相手が完全に無防備になるわけではないが、素早いポケモンなら わるだくみ を積んで2発打ち込むには十分だ。ダークホール は命中率が不安定なので、必中の保険として扱うのではなく「当たれば追加で時間が生まれる」程度の期待値で運用すること。
ウルガモス:むし/ほのお、ほのおのからだ によって接触技を使った相手が 30% の確率でやけどになるため、相手が物理で強引に殴ってくる意欲を受動的に削げる。シングルの定番ライン:物理アタッカーで圧をかけて交代を誘い、交代ターンに ウルガモス を投げて わるだくみ を積み、次のターンから かえんほうしゃ / むしのさざめき / ギガドレイン で制圧する。
使い方
本質は「そのターンを作ること」であって、技を押すことではない。
シングル標準ライン:脅威のある攻撃役で圧をかけて相手に交代を強制する。相手の交代ターンはこちらへの攻撃がゼロになるターンだ。そこに わるだくみ 枠を投げてすぐ積む。条件は「交代先より素早いか、着地の一発を耐えられるか」のどちらか。積み終わったらそのまま居座ること——交代すると強化段階がリセットされ、1ターンの投資が丸ごと消える。
ダブル Aライン(引きつけ):このゆびとまれ または いかりのこな を持つサポート役(モロバレル や ピッピ が定番)を隣に置き、そのターンの攻撃を全部サポート側に向ける。わるだくみ 枠はノーリスクで積める。次のターンから攻撃を展開する。
ダブル Bライン(守る時差):わるだくみ 枠が1ターン目に まもる を使いながら、隣がその場最大の脅威を処理する(優先順位は ねこだまし 枠の排除)。2ターン目に安全に積む。1ターン余計にかかるが妨害源を根本から取り除けるので安定度が高い。
if-then 判断軸:相手に生きている ねこだまし 枠がいる → 隣が処理するか、その出場ごとのFake Outを使い切ったことを確認してから積む。相手が ふいうち を持っている → 積んだ直後はすぐ攻撃に移ること(ふいうち は相手がダメージ技を選択したときだけ発動するので積み中は直撃しないが、残り続けると誘う)。明確な特殊受けが見えている → 打ち抜ける技があるか先に確認し、なければ物理アタッカーに切り替える。
コツと戦術
ありがちなミスの解剖:ねこだまし 枠が生きている状態で強引に積もうとすること。 典型例は相手の ガオガエン だ。初心者は「いかく が下げるのは攻撃だから、特攻型には関係ない」と判断しがちだが、誤りはそこではない。ガオガエン が出てきた1ターン目に必ず使える ねこだまし によって積みターンが潰れ、ひるみでターンが終わる。わるだくみ を押した意味がゼロになる。正解は「その出場分の ねこだまし をすでに使った(1回きり)」ことを確認してから積むか、隣が先に ガオガエン を倒すことだ。
ハピナス と クレセリア は構造的なカウンター。 ハピナス はHPと特防の合計が異常なので、×2 強化後でも1発で落とせないケースが出てくる。そのまま ちきゅうなげ や でんじは で流れを止められる。クレセリア も同様に耐えて ムーンフォース やサポート技を返してくる。どちらに対しても積んだ後も特殊技を打ち続けるのはほぼ悪手——物理アタッカーに切り替えて別方向から圧をかけること。
まひは確率的だが無視できない脅威。 Champions のまひによる全停止確率は 12.5%(本家の 25% より低い)。毎ターン発動するわけではないが、素早さ半減の効果は わるだくみ 系アタッカーには特に痛い——多くの場合、素早さ優位を利用して積んで攻撃するサイクルが前提だからだ。素早さが半減するとターン順が逆転し、積んだ成果を相手に利用される展開になりかねない。でんじは を読んだターンは交代で回避すること。
メガシンカ + わるだくみ の抑止力。 選出画面 で ゼンブイリング 持ちの特攻メガ進化枠を見た相手は、選出前の段階から対策リソースを割かなければならない。準備が間に合わなければ、一度積まれた時点で何を交代させても倍率のかかった特攻を受け続けることになる。これは対戦中だけでなく構築段階にかかるプレッシャーでもある——相手が本来採用したくない特殊受けを無理やり入れざるを得ない状況を作れれば、残りの選出の噛み合いもこちら有利に傾く。