効果
たべのこし はターン終了時に持ち主の最大 HP の 1/16 を回復する。PP なし、発動条件なし、天候も関係ない。ただ勝手に動き続ける。
数字で見てみよう。 Champions の Lv50 で耐久寄りの カバルドン は HP がおよそ 175 前後に収まる。毎ターン たべのこし が約 11 回復してくれて、6 ターン続けば合計 66――等倍以下の攻撃を一発余分に耐えられる計算だ。さらに重要なのが KO 確率の話。Champions のダメージ乱数は 85〜100% の 16 段階で決まる。相手の期待ダメージが 160 で自分の残 HP が 168 なら、乱数次第で半分の確率で即倒される。でも前のターンに たべのこし で 11 回復して 179 になっていれば、どの乱数でも KO されない。道具一つ、一ターン分の回復が、ダメージ計算の結論をまるごと塗り替える。
6 ターンで回復できる合計は最大 HP の 37.5%(6/16 = 37.5%)。オボンのみ の一回限り 25% を上回り、しかも何の条件も要らない。オボンのみ が勝るのは即効性だけ――ヒット&アウェイの攻撃役にはそのスピードが刺さる。でも場に居続けるポケモンなら たべのこし の方が絶対に強い。
Champions の 能力ポイント 上限(合計 66、1 項目最大 32)のせいで、本家で努力値 252 振りしたときより HP の絶対値が低く抑えられる。HP が薄ければ薄いほど、1 ポイントの回復の価値は高くなる。たべのこし はこの環境では本家以上に強い。
採用するポケモン
ドヒドイデ ― 定番の受けの壁。トーチカ と じこさいせい で相手のターンを削る動きに たべのこし が重なって、「いつか倒せる」を「永遠に倒せない」に変える。くろいヘドロ への変更も検討に値する(後述)が、タイプ混合パーティなら たべのこし の方が無難だ。
ナットレイ ― 自前の回復技を持たない。たべのこし だけが継続的に HP を取り戻す手段になる。接触技を打つたびに相手は鉄のトゲで削られ、ナットレイ は たべのこし で回復する――物理接触のたびに攻撃側が純損する、これが壁として機能するコアロジックだ。
ハピナス ― ゲーム中で最大の HP プールを持つから、毎ターンの回復量の絶対値も最大になる。1/16 × 巨大な数 = やっぱり大きな数。シングルの削り合いでは、道具処理の手段なしに削り切るのがほぼ不可能になる。
クレセリア ― ダブルで たべのこし を最も体現するポケモン。仕事はダメージを出すことではなく、生き残ること。たべのこし と まもる のループで終盤まで HP を維持し、ここぞという場面で みかづきのまい を撃てる状態を保つ。1 ターン長く生き残るたびに価値が生まれる。
モロバレル ― ダブルで いかりのこな を使って味方への攻撃を引き受ける役割。受けたダメージを たべのこし がターン間に少しずつ補填する。Champions では眠り状態の上限が 3 ターン――本家より短い――から キノコのほうし を打つタイミングがより重要になる。長く生き残るほど、より良いウィンドウを待てる。
みがわり使い(ヒードラン など) ― みがわり は最大 HP の 1/4 を消費するが、4 ターンで たべのこし が 4 × 1/16 = 1/4 を返してくれる。みがわりが破壊されず他のダメージを受けなければ、1 サイクルの純 HP 消費はゼロだ。実際にはみがわりは攻撃されるが、この計算がループの消耗ペースが直感より遥かに遅い理由を示している。
使い方
シングル:先に相手の KO 数を数える。 2 発で倒されるなら たべのこし は何も変えない――きあいのタスキ か攻撃的な道具を選ぼう。3 発必要なら、2 発目後の残 HP が高くなって 3 発目の乱数が足りない可能性が出てくる。4 発必要なら、たべのこし は毎ターン計算を動かし続ける。判断基準は一つ:相手が自分を KO するのに何発かかるか。
みがわりループのターン展開:
- ターン 1:みがわり 使用(−1/4 HP)、たべのこし 発動(+1/16)
- ターン 2:攻撃か どくどく、相手がみがわりを攻撃、たべのこし 発動(+1/16)
- ターン 3:みがわりが壊れる、たべのこし 発動(+1/16)
- ターン 4:みがわり再展開(−1/4 HP)、たべのこし 発動(+1/16)
4 ターンの純 HP 変動 = 1/4 − 4×(1/16) = 0。理論上、みがわりだけで対処できない相手が直接攻撃してこない限りループは永続する。実際は直接攻撃も来るが、この数字がループの消耗が感覚より遥かに遅い理由だ。
ダブルの まもる 複合: ダブルでは まもる の採用率が極めて高い。まもる ターン = ダメージゼロ + 1/16 回復。2 ターン一組で見ると、一方は まもる、もう一方は通常行動。常に たべのこし なしより有利な状態でターンを消化できる。モロバレル や クレセリア のような「場持ち」枠にとってこのループは最大の回復手段であり、試合を通じて複利的に効いてくる。
シングルとダブルの根本的な差: シングルは回復を積む回数が多く、たべのこし の長期価値が出やすい。ダブルは展開が速く攻撃が集中するため、コアポケモンが集中攻撃で落ちるリスクが高い。ダブルでは たべのこし は まもる のサポートがないと真価を発揮しにくい。集中攻撃を受けてそのまま回復で立て直そうとするより、安全なターンに少しずつ補填する使い方が正解だ。
コツと戦術
どくタイプには くろいヘドロ の乗り換えを検討: ドヒドイデ と モロバレル は たべのこし より くろいヘドロ を真剣に考えるべきだ。持ち主への効果は毎ターン +1/16 HP で完全に同じ――だが相手が トリック や すりかえ で奪うと、どくタイプ以外の相手は毎ターン 1/8 HP ずつ削られる。タダで仕込めるトラップだ。唯一の注意点:自分のパーティにどくタイプでない仲間がいて、誤って拾ってしまわないようにすること。
たべのこし への 4 つの対抗手段:
- はたきおとす:道具を持つ相手へのダメージが 1.5 倍になり、しかも道具を剥がせる。一手でダメージ増加と回復遮断を同時に達成する最強の単体回答。
- トリック / すりかえ:たべのこし を交換して奪い、たいていは こだわりスカーフ など行動を縛るものを押し付ける。
- やどりぎのタネ:毎ターン 1/8 HP を吸収――たべのこし の回復速度の 2 倍。壁型ポケモンが毎ターン純粋に削られ続ける。
- 速攻:2 ターン以内に KO してしまえば、たべのこし が積み上げられる前に終わる。
初心者によくある失敗その一:アタッカーに たべのこし を持たせる。 たべのこし はターンを積み重ねてこそ機能する。ヒット&アウェイのアタッカーは技を打ったらすぐ引く。良くて 1〜2 回の発動で、効果はほぼゼロだ。こだわりハチマキ や いのちのたま なら毎回の技のダメージが伸びる。安心感から たべのこし を握り続ける初心者は多いが、合わないポケモンに持たせるのは枠の無駄遣いでしかない。
例外:メガシンカ 候補のポケモン。 ゼンブイリング で メガシンカ を発動したら、そのポケモンは対応する メガストーン を持たなければならない――持ち物スロットはもう埋まっている。たべのこし と メガストーン を同時に持つことはできない。進化前の 1〜2 ターンで たべのこし が発動しても、蓄積できる回復量はほぼ無意味だ。最初から メガストーン を持たせるのが正解。「数ターン たべのこし で回復してから進化すればいい」という発想は、ルール上そもそも成立しない。