効果\n\nステルスロック は相手フィールドに岩石の破片を撒き散らす。相手が交代でポケモンを繰り出すたびに、岩タイプの相性倍率に応じて最大HPが削られる:等倍 1/16、2倍弱点 1/8、4倍弱点 1/4、2倍耐性 1/32、4倍耐性 1/64。\n\n数字の重さは実感しにくいが、具体例を挙げると分かりやすい。Lv50 リザードン の一般的な耐久投資だとHPは約155——交代で出てきた瞬間に約39(25%)削れ、それだけで並のいわなだれ一発圏内に落ちる。試合中にリザードンを2回交代させれば、攻撃を一切使わずに実質HP半分近くを稼いだ計算になる。トゲキッス も交代のたびに1/4削れ、まきびし1層と重なれば出てきた時点でHP 37.5%喪失——攻撃を一度も受けていないのに、だ。ウルガモス(同じく4倍弱点)も同様で、ステルスロック+撒きびし1層で交代してきた瞬間に37.5%消えており、並の強打で落ちる射程に入ってしまう。\n\n競技的な意味は「交代ダメ」の一言では済まない。ステルスロック は交代を「本物のリソース消費」に変える。有利対面に逃げるために交代するたびにHPが減り、本来2発耐えるポケモンが削れた状態で場に出れば1発で落ちる。これが本質的な強さ——攻撃側がより多くのダメージを出さなくても、一撃圏内のラインを永続的に下げられるのだ。\n\nメガシンカ の動かし方にも制約が生まれる。相手のメガシンカポケモンが岩弱点なら、一度引かせてまた出してくるたびにHPを失い続け、「メガを場に残して受け続けるしかない」状況に追い込まれる。それがこちらの読みを通しやすくする。\n\nダブルのランクバトルでは仕組みは全く同じだが、ダブルは自由に交代する場面がほぼなく、圧力として機能しにくい。技スロットの価値はこのゆびとまれ・ワイドガード・ねこだましの方がはるかに高い。この技は根本的にシングル向けの武器だ。\n\n## 採用するポケモン\n\nステルスロック を採用するポケモンに共通するのは3点:相手が気軽に攻撃できないだけの脅威か耐久があること、技スロットをダメージ用に回さなくていいこと、安定して撒ける場面を作れること。\n\n高速攻撃的リード:ガブリアス はそれ自体が脅威すぎて相手が直接受けに来られず、1ターン目にほぼ確実に撒ける。ランドロス も同様で、さらに技範囲が広く、撒いた後そのまま攻撃に移れるので1ターンも無駄にならない。\n\n防御的なクッション:カバルドン はなまけると組み合わせて試合を生き延び、撒きびしが消されても何度でも出直して再展開できる。ナットレイ はシングルでも指折りの耐久を活かし、1ターン目に岩を撒いてすぐやどりぎのタネを狙え、相手は2種類の受動ダメを同時に処理しなければならない。エアームド はさらに一歩上で、ふきとばしと組み合わせることで相手を強制交代させ続け、避けられないダメージを積み上げる。\n\nピボット型サポート:ロトム は岩を撒いた後ボルトチェンジで安全に引き、自身のHPを温存しながらテンポを維持する。安全に引けるセッターは場に居座って消耗するタイプより格段に対処しにくい。\n\n高速メガリード:プテラ はメガストーン進化後に極めて高い素早さ帯に達し、ほとんどの相手リードを抜いてダメージを受ける前に岩を撒ける——その後すぐ高速攻撃でプレッシャーをかけられる。\n\n## 使い方\n\nシングルでは主に2つの撒きどころがある。\n\n1ターン目リード:セッターが先制できる、あるいは1発耐えられるなら、開幕即座に撒く。小賢しいことは考えず、ただ撒く。判断基準はシンプルだ——「このターン先に動けるか? 動けるなら撒く。」相手も1ターン目に何かを展開しようとしているか、安全な選択を探している。そこを突いて先に岩を撒くのは純粋なアドバンテージだ。\n\n交代の瞬間に撒く:相手がセッターの有利対面に交代してきたターン、攻撃ではなく岩を撒く。相手はダメージを受けると思って出してきたのに、代わりに交代を無駄にしてハザードを許すことになる——こちらはノーダメで済む。この状況は試合中に何度も訪れ、1ターン目より安全なことも多い。\n\nハザード重ね:ステルスロック にまきびしを組み合わせると交代のたびに1/8〜3/8が追加で削れる。両方展開すると等倍の交代だけでHP 3/16喪失、岩弱点のポケモンは交代一回で3分の1以上が消える。どくびしを加えると毒もかぶり、いずれ相手は何を出しても一撃圏内から逃げられなくなる。\n\n[[widget:turn-order]]\n\n重要なルール:ステルスロック は重ねがけできない。すでに展開されているのに再度使うのは完全な1ターン損——それだけのことだ。\n\nダブルではほぼ使わない。技スロットの価値差が大きすぎる。\n\n## コツと戦術\n\nちょうはつ の読み合い:相手のリードがちょうはつを持っていれば、そのターンのステルスロックは完全に封じられる。選出画面の段階で相手に高速ちょうはつ使い——ボルトロス・エルフーンなど——がいるか確認し、こちらから先にちょうはつで封じるリードを選ぶべきか判断する。場合によっては1ターン目の展開を諦め、試合中盤の安全な交代窓まで待つのが正解になる。\n\nマジックミラー は完全な上位互換カウンター:エーフィ とブリムオン はマジックミラー特性でステルスロックをそのまま自分のフィールドに跳ね返す。撒いたつもりが自分の足元に落ちてくる。選出画面でどちらかが相手パーティにいるか必ず確認すること。いる場合は、先に速い攻撃ポケモンで脅かして場から追い出してから撒くか、こちらのちょうはつで先にサポート行動を封じてから撒く。\n\n弱点の数を数えてから持ち込みを決める:ステルスロック セッターを確定させる前に、相手6体のうち何体が岩弱点かを数える。飛行・炎・氷・虫・草タイプが並ぶ構築なら岩は試合を決定づけるほど強力で、積極的に守りに行く価値がある。逆に相手全員が地面・鋼・格闘タイプなら蓄積ダメは微々たるもの——その場合はおにびやどくどくなど別のサポートに枠を回す方が賢明だ。\n\n初心者の定番ミス——すでに岩があるのにまた撒く:相手フィールドに既にステルスロックが展開されているのに再度使うのは、ダメージなし・メリットなし・ターン全消費の三重損。技を選ぶ前にフィールド状態を必ず確認すること。テンポ勝負の緊張した場面で何もしない行動を選んでしまうのは、そのまま勝敗の分岐点になり得る。\n\n除去との読み合いが本当の勝負どころ:こうそくスピン は撒いた側のフィールドのハザードのみ消す。きりばらい は双方のフィールドのハザードをすべて消す。相手に除去役がいると分かった時点で、それを脅かすか倒せるポケモンを軸に組む。HPが少なくなったアーマーガアはきりばらいを使うために気軽に交代できない——岩が2〜3ターン余分に生き残るだけで試合全体の蓄積ダメは30〜50%変わってくる。ハザードを「置いて終わりの設置物」と思わず、「能動的に守らなければならないリソース」として扱い、岩を生かし続けることをパーティ構築の前提に置くこと。