効果
だっしゅつボタン の発動条件は一つだけ:持ち主が技の直接ダメージを受けた瞬間、強制的に交代させられ、道具は消費される。やけど・どく・すなあらしの継続ダメージでは発動しない。ステルスロック などの設置技によるダメージも同様に対象外。あくまで技がHPに直接当たった場合のみ。
なぜ対戦でこれほど重要なのか。 通常の交代は行動を一つ使う——技を出すのを諦める代わりに、相手は交代を読んでターゲットを変えられる。だっしゅつボタン はその問題を両方まとめて解決する。相手が攻撃してきた処理の途中でもうこちらは抜けている。相方はそのままそのターンに動ける。結果として、起きたこと全部の上に交代が乗っかった形になる——相手の攻撃ターンが、こちらの展開ターンに化ける。
具体的なテンポの話——なぜ1ターンのズレが勝敗を分けるか。 ガオガエン の素早さ種族値は60で、Lv50・無補正・能力ポイント 未振りだと実数値は約105。たいていの高速アタッカーより後手に回る。自分の手番を使って手動で引いた場合、相手は交代先に対して先に行動できる。一方 だっしゅつボタン は今のターンの技処理が終わった後・ターン終了前のタイミングで交代を成立させる——相手の攻撃ターンの中でこっそり盤面を組み替えられ、次のターンには整った状態からスタートできる。
採用するポケモン
威嚇ループ役——ガオガエン(定番中の定番)。 いかく は登場時に発動し、隣接する相手全員の攻撃を1段階下げる(×0.67)。ガオガエン が出て威嚇を入れ、相手が殴ってくる、だっしゅつボタン で引く。数ターン後に手動で戻してもう一度威嚇。3回目の威嚇が入った後の物理アタッカーは攻撃倍率が約×0.44まで落ちる——実質機能停止に近い。余分な行動を使わずこのループを回せるのが だっしゅつボタン の存在意義。
引き込みアンカー——モロバレル。 ダブルで いかりのこな を使って攻撃を自分に集め、被弾後に だっしゅつボタン が発動、必要なアタッカーをピンポイントで場に送り込む。相手はサポート枠を叩いているつもりが、実際にはこちらの展開を手伝っている。アモンガスは長期生存が目的ではなく、その一瞬の精密な送り届けに価値が集中している。
耐久の低いサポート役——エルフーン・ピッピ。 これらのポケモンが最も輝くのは登場直後の1〜2ターン(おいかぜ・アンコール・このゆびとまれ)。サポート行動さえ通れば場に残る必要はない。だっしゅつボタン を持たせれば、1発もらって引くだけ——手動交代に1ターン使わずに済み、役割を果たしつつ無駄なく退場できる。
壁張り役。 リフレクター と ひかりのかべ を張るだけが仕事のポケモンには、仕事を終えた後のきれいな出口が必要。だっしゅつボタン はその「張る→引く」を1ターンに圧縮する。毎ターンが勝負のダブルでは、この差は確実に効いてくる。
向いていないケース:継続的な火力が必要な主要アタッカー、あるいは とつげきチョッキ や いのちのたま のほうが明らかに強いポケモン。引いた瞬間に損するなら持たせるべきではない。
使い方
ダブルの引き込みテンプレート(最頻出):
ターンN:モロバレル が いかりのこな を使い攻撃を自分に集める。アタッカーの相方はそのまま技を出す。相手がアモンガスを攻撃——だっしゅつボタン 発動。今すぐ必要なポケモンを選んで場に出す。結果:攻撃を1体で吸いながら、もう1体を同じターンに展開できた。相手は行動を使って自分自身の首を絞めた。
シングルの守りのピボット:
相手が大技を撃ってHPを大きく削ってくる。だっしゅつボタン が発動し、相手に有利なポケモンや受け出しを選んで投入できる。道具なしなら、次の攻撃を受け続けるか、次のターンに手動交代して読まれるかの二択——どちらも だっしゅつボタン 発動後の状況より悪い。
威嚇ループのターン管理(シングル・ダブル共通):
ターン1——ガオガエン 登場、いかく 発動、攻撃が下がる。 ターン2——相手が ガオガエン を攻撃、だっしゅつボタン 発動、ガオガエン が引く、次のポケモンを投入。 ターン5(例)——手動で ガオガエン を戻す、いかく が再発動。
1体で、余分なターンを使わずに2〜3回の威嚇を通せる。
絶対に忘れてはいけない点: だっしゅつボタン による交代は強制。留まることはできない。選べるのは誰を出すかだけ。控えがいなかったり展開が悪かったりすると、強制交代が相手へのプレゼントになる。控えには必ず1体以上、まともに受け出せるポケモンを残しておくこと。
コツと戦術
能動的トリガーと受動的トリガー。 ダブルでは このゆびとまれ や いかりのこな と組み合わせることで、自分の意図したタイミングで発動させられる——相手がどこを狙うかを読まなくていい。シングルでは完全に受動的で、相手が持ち主を攻撃してくれることに依存する。だからこそ持ち主は「相手が殴らざるを得ない」存在でなければならない——2発目を耐えられないほど脆いが、サポート価値があって相手から見て放置できないポケモンが理想。
初心者がよくやる失敗——アタッカーに持たせる。 よくある場面:ガブリアス に だっしゅつボタン を持たせたら、1発もらった瞬間に引かされて攻撃機会を失い、こちらの交代パターンを相手に丸見えにしてしまう。この道具の本質は「引いても損しない」こと。アタッカーが引くのは損なのだから、ボタンは向いていない。「1発もらって仕事して引く」が中立かプラスになるサポート枠に持たせるのが正解。
相手側の対策:
- はたきおとす が最も直接的な回答:先手でボタンを落とされると戦術が丸ごと崩壊する。相手に はたきおとす 使いがいる場合は要警戒。
- 持ち主を無視する:だっしゅつボタン は持ち主が攻撃されないと発動しない。相手が意図的に避けて相方を集中攻撃すると、ボタンは永久に押されない。
- ダメージを与えない技:アンコール・でんじは などの変化技はHPを直接削らないため、だっしゅつボタン は発動しない。
だっしゅつボタン vs だっしゅつパック の選び方。 だっしゅつパック は能力が下がったときに発動——いかく や ソウルクラッシュ と組み合わせて意図的に誘導できる。だっしゅつボタン はHPダメージで発動し、引き込み戦術や威嚇ループ(どうせ殴られる前提)に向いている。核となる戦術が威嚇ループや引き込みコンボなら だっしゅつボタン がほぼ一択。相手の能力下降戦術への対応が主目的なら、そこで初めて だっしゅつパック の出番になる。