効果
アクアジェット は優先度+1の水タイプ物理技で、威力40・命中100・追加効果なし。
対戦での価値は全て優先度にある。威力は関係ない。アクアジェット を選択した以上、相手との素早さの差がどれだけあろうと、通常技(優先度0)より必ず先に動ける。これにより、素早さが低い物理水アタッカーが、本来ターンを取られる前に相手を仕留められる。
具体的な数値で整理する:マリルリ のChampionsでの最高素早さは約132(Lv50、個体値31、素早さへの能力ポイントなし、性格補正なし)。こだわりスカーフ を持った テツノツツミ は約230まで達する——通常なら マリルリ が先に動くことは絶対にない。だが はらだいこ 後に ちからもち で攻撃が実質600+相当まで上がれば、威力40の アクアジェット でもHPが約40%以下の相手なら確実に倒せる。先制権を先行投資として買い、ちからもち がそれを回収する構図だ。
Championsダブルスでは速度コントロールが常態化している:こだわりスカーフ・おいかぜ(おいかぜ)・トリックルーム(トリックルーム)の三つが同時にランクマで使われている。アクアジェット はその三つ全てを「素早さ競争の外側」で動くことで回避できる——トリックルームだけは例外があるが(後述)。
採用するポケモン
マリルリ は約96%の構築で採用——ほぼ全員標準装備。コアの三点セットは ちからもち(攻撃×2)+ はらだいこ(攻撃+6)+ アクアジェット(先制フィニッシュ)。オボンのみ でハラダイコのHP半減コストを補い、次のターンまで生き残る。能力ポイント は攻撃に全振り(上限32)、性格はいじっぱりかゆうかんが基本。ハラダイコ後は威力40でもHP半分以下の相手をほぼ確定で落とせる——(×2 Huge Power)×(+6補正)×(×1.5同タイプ補正)の倍率スタックが実質威力をほぼ無意味にする。
イダイトウ は約91%の構築で おはかまいり と並行採用。てきおうりょく により同タイプ補正が1.5倍から2.0倍に上昇するため、アクアジェット の威力40は実質 威力80相当 のダメージになる——ウェーブタックル の半分の火力だが先制権が付いてくる。役割分担は明確:おはかまいり は満タン〜高HP目標に(味方が倒れるほど威力が上がる)、アクアジェット はすでに削られた相手の止めを刺す。不必要に おはかまいり の行動とPPを消費しない。
ウェーニバル は約38%の構築で保険として採用。素早さは低くないが、相手が こだわりスカーフ を持っている場合でも アクアジェット で先手を確保できる。
ツンベアー は約31%で採用。すいすい や ゆきかき の天候下では素早さが2倍になるので先制技は不要だが、天候が終わって素早さが元に戻った瞬間の保険として アクアジェット が機能する。
使い方
ダブルスの基本ムーブ:サポート枠で安全な展開窓を作る——ねこだまし でひるませる、いかりのこな か このゆびとまれ で攻撃先を誘導する——そのターンに アクアジェット 使いのアタッカーを無傷で動かし、次のターンに先制で仕留める。
マリルリ の教科書的な動き——1ターン目:相棒が最大の脅威に ねこだまし、マリルリ は はらだいこ。2ターン目:相棒はもう片方のターゲットを攻撃、マリルリ は攻撃+6の状態で先制 アクアジェット——削れた相手はほぼ確実に落とせる。フレームは「1ターン目:無傷で準備、2ターン目:先制で一掃」。ねこだまし サポートが使えない場合(相手が せいしんりょく、または相棒がすでに ねこだまし を使った場合)は、まず まもる でターンを流してからハラダイコを狙う。
シングルでの使い方:最も価値が高い瞬間は相手が交代してきたターン。相手は「新しいポケモンを出せば先に動ける」と思って交代してくるが、アクアジェット の先制でその出鼻をくじく。イダイトウ の場合、満タンの相手には おはかまいり か ウェーブタックル で先に削り、HP30〜40%の圏内に入ったら アクアジェット で仕留める——その血量帯に大火力技を使うのはコスト過剰だ。
優先度のぶつかり合い:アクアジェット の+1は優先度0以下の技にしか勝てない。ねこだまし(+3)、しんそく(+2)、ふいうち(+1)などが相手にある場合、同優先度帯では素早さ順に戻るため、先制を前提にした読みは崩れる。こうした先制技使いの多い相手には アクアジェット を保険として頼りすぎないこと。
コツと戦術
よくある失敗の解剖——HP残量の多い相手に先制技を打つ。初心者が一番やりがちなのは「水タイプ技で先手が取れるから」という理由だけでHP60%以上の相手に アクアジェット を打つこと。威力40では、攻撃に振っていても アクアブレイク(威力85)や ウェーブタックル(威力120)より大幅にダメージが落ちる。倒しきれない相手に打てば、行動一回分を低ダメージに消費しただけで次のターンに高火力で反撃される。正しい使い方:先に高威力技で削って、アクアジェット で倒せる圏内に押し込んでから先制で仕留める。アクアジェット のダメージが意味を持つのはフィニッシュとして機能する場合だけだ。HPが残っている局面では ウェーブタックル 系が正解。
名前付き例外:トリックルームは話が逆になる。トリックルーム 下では素早さが逆転し、最も遅いポケモンが先に動く。つまり元から素早さが低い マリルリ はトリックルーム下では優先度に頼らなくても自然に先行できる。この状況で アクアジェット は優先度0の技より先に出るという点は変わらないが、マリルリ はそもそも先行しているので恩恵が重複するだけ——じゃれつく や アクアブレイク で高威力を出した方がいい。トリックルームパーティが持ち込む低速スイーパーも自然先行を前提に動いている点も忘れずに。
水免疫特性は完全にシャットアウト:ちょすい(シャワーズ)、よびみず(トリトドン 系)、かんそうはだ(ドクロッグ)を持つ相手にはダメージが0になるどころか、HP回復や特攻上昇まで発生する。ダブルスでは トリトドン が水ポケモンへのカウンターとして意図的に採用されることが多い。相手の構築を見てから手を出すこと。
耐性チェック:水タイプは水・草・ドラゴンに半減(×0.5)される。ナットレイ や ゴリランダー などの草コアには アクアジェット がほとんど効かない——こうした相手に打つのは明確なミスプレイ。草タイプには別の技か別のアタッカーで対処すること。
いのちのたま の反動は積み重なる:イダイトウ に いのちのたま(ダメージ×1.3、毎回最大HPの1/10減少)を持たせる場合、アクアジェット を打つたびに10%のHPが削られる。3回連続で打てばそれだけで30%消耗——先制技で落とされかねない圏内に入る。こだわりハチマキ なら反動なしで火力を上乗せできる(技が固定されるトレードオフはある)。複数ターンに渡って アクアジェット を連打するプランなら、Life Orbの反動によるHPの減り方を必ず計算に入れておくこと。