基礎 Hook:その1手で何を計算しているか
シングルバトルをやっていれば、必ずこの分岐にぶつかる。1ターン目、相手が突破できない受けポケを先発に出してきた。このとき「引く」のか、それとも先にステルスロック(ステルスロック)を撒くのか。初心者は「引く」を選ぶ。今すぐ安全だから。でも上位プレイヤーはほぼ全員「先に撒く」を選ぶ。このターンで何が起きるかではなく、相手の残り6体が交代するたびに積み重なるダメージを計算しているから。この授業で、その計算を正確に回せるようになれば、この分岐は「読み」ではなく「答えのある選択」に変わる。
基礎 Core:まき物の唯一のメンタルモデル
1文だけ覚えておけばいい:まき物は「直接ダメージ」を与えるのではなく、相手の全ポケモンの「実質HP」を下げる。 相手が交代した瞬間に処理され、自分の攻撃回数は1つも消費しない。純粋な得だ。
4種類のまき物、覚えるのは倍率だけでいい:
- ステルスロック(ステルスロック):岩タイプの相性倍率に応じてHPが削れる。等倍12.5%、弱点×2で25%、×4で50%、耐性×0.5で6.25%、二重耐性×0.25で3.1%。枚数は1枚固定。シングルで最初に積むべきまき物はほぼ常にこれ。
- まきびし(まきびし):接地しているポケモンにのみ有効(ひこうタイプとふゆうは無効)。1枚12.5%、2枚16.7%、3枚25%。
- どくびし(どくびし):1枚で毒、2枚で猛毒。接地どくタイプが交代で入ってくると全枚数を吸収して消える。
- ねばねばネット(ねばねばネット):接地して交代するとすばやさが1段階ダウン。高速スイーパーのS関係を崩すのに使う。
核心は数字の暗記ではない。相手が交代するたびに、こちらはタダで1回分の処理を得る、それだけだ。
中級 Worked → Faded:消耗ダメージを計算に組み込む
まず全部計算した例を見る。相手はウルガモス(むし/ほのお、岩×4)、HP満タン。自分のフィールドにステルスロックがある。
- 交代するたびに:12.5% × 4 = HP50% が消える。
- 2回交代したら倒れる。こちらは1発も攻撃を選択していない。
次に現実的な等倍の例。相手がドラパルト(ドラゴン/ゴースト、岩×1等倍)、HP満タンで163(Lv50努力値0の標準ライン)。
- ステルスロックの交代ダメ:163 × 12.5% ≈ 20 HP。
- 自分のアタッカーの技は乱数85〜100%(16段階)で、HP満タン時は16段階のうち6段階で1発KO(6/16、約37%)。
- ステルスロックを1回踏んだドラパルトは残り約143HP。同じ技を再計算すると、16段階のうち14段階で1発KO(14/16、約88%)。
- こちらは何も余分なことをしていない。相手が1回交代してくれただけで、KO確率が37%から88%に跳ね上がった。
これがまき物の本質だ:「20ダメージ」じゃない。その後のすべてのダメージ計算の天秤を、自分側に傾け続けるものだ。
あなたの番(faded):相手はハバタクカミ(ゴースト/フェアリー、岩×1等倍)。自分はステルスロック+まきびし1枚を撒いてある。相手は接地・ひこうタイプではない。計算してみよう:1回の交代で合計何%削れる?(ステルスロック12.5% + まきびし1枚12.5%)。次に考える:自分のアタッカーがHP満タン時に「3発KO」の技なら、相手が2回交代を強いられた後、実際に何発必要か?その数字を交代判断に組み込んでおこう。
中級 When/Decision:撒くべき場面・撒かなくていい場面
「もし〜なら〜する」の形で読む:
- もし序盤に短期間では突破できない受けポケと当たった(相手が時間稼ぎをしている)なら、その隙にステルスロックを撒く。攻撃回数を1回も無駄にせず、逆に相手が自分のHPラインを気にし始める。
- もし相手のパーティに岩×2/×4の脆いスイーパーが2体以上いる(リザードンやウルガモスなど)なら、ステルスロックを最優先にする。相手の攻め手を半分直接削ることになるから。
- もし相手の全ポケモンが接地・ひこうなし・ふゆうなしなら、まきびしを重ねることも検討する。3枚になれば交代するたびに最低25%から始まる。
- もし高速スイーパーに自分のS帯を圧されているなら、ねばねばネットでそいつを先制圏や味方の射程に引きずり込む。
- もし自分に解除手段がなく相手に撒き手がいるなら、注意が必要だ:むやみに交代して相手にタダの処理を渡さないようにする。
中級/上級 Exceptions:単純なルールが崩れるとき
- ひこう / ふゆう は地面3種を無効化する:まきびし・どくびし・ねばねばネットは、ひこうタイプとふゆう持ち(例:ウォッシュロトム)には完全に無効。ただしステルスロックは接地を問わず機能する。
- どくタイプはどくびしを吸収する:接地どくタイプが交代で入ってくると、どくびしを全枚数吸収して消してしまう。相手のどくチームにどくびしを期待するな。
- マジックガード:この特性持ち(例:ピクシー)はまき物ダメージを完全無効化する。消耗の計算がそのポケモンに対してはゼロになる。
- あつぞこブーツ(ぼうじんゴーグル):持っているポケモンはすべてのまき物を無視する。脆い岩弱点スイーパーがこれを持っていたら、ステルスロックのダメージは0だ。シングルで「撒いたのに何も起きない」の一番多い理由がこれ。
- ふうせん(ふうせん):割れるまで地面3種を一時的に無効化する。ただしステルスロックは防げない。
中級/上級 Mistake-Autopsy:初心者がよくやるミス
ミス:1ターン目、相手が倒せそうな脆いポケモンを先発に出してきた。「とりあえず先にステルスロック」と思って撒いたら、相手はそのターンに引いた。自分のステルスロックは、どうせきりばらいで飛ばされる盤面に着地し、相手に攻撃ターンを1回タダで渡した。
なぜ間違いか:まき物は「反射的に1ターン目にやること」ではない。価値は完全に「相手がこの後何回交代するか」と「相手が解除手段を持っているか」に依存する。引かない相手や、スイーパーがあつぞこブーツを持っている相手に対しては、ステルスロックはほぼ1ターンの無駄だ。
修正:撒く前に1つだけ自問する──この岩刺に、相手はここから何回交代してくるか?答えが「少なくとも2〜3回」なら撒く。明らかに一点突破・引かない・全員ゴーグルならば、そのターンは攻撃か先手獲得に使え。
中級 Predict-then-Reveal:先に自分で考えてから答えを見る
問い:自分のフィールドにステルスロック + まきびし3枚がある。相手が接地・非ひこう・岩等倍のポケモンをHP満タンで交代してきた。着地した瞬間、合計何%削れているか?
…先に計算してから、下を読む。
答え:ステルスロック等倍12.5% + まきびし3枚25% = 37.5%。1発も攻撃を受けていないのに、フィールドに出た時点でHP62.5%スタート。「まき物を重ねて交代を強いる」がシングルで最も安定した受動的な勝ち筋の一つである理由がこれだ。相手の全体的な実質HPを3分の1以上削れる。
上級 Now-Do-This:図鑑で自分の実際のパーティを確認する
図鑑 /dex を開いて、自分の6体のタイプを一匹ずつ確認し、2つのことをする:
- パーティ内の岩弱点を数える:岩×2 / ×4 のポケモンを全部マークする。×4(二重弱点)は相手のステルスロック1枚で交代するたびに50%削れる。これらが最もあつぞこブーツ(ぼうじんゴーグル)を持たせるべき脆いポケモンだ。
- 逆に、自分が対策したい高速スイーパーの弱点を調べる:このパーティが意識している主要な高速スイーパーを図鑑で探し、岩×2/×4かどうか確認する。そうなら、自分のステルスロックは消耗ダメージにとどまらず、相手の攻め手を直接半分にする。これが「ステルスロックを最優先で撒く」ための確実な根拠だ。
調べ終わると一覧ができる:どの味方がゴーグルを必要とするか、どの相手ポケモンをステルスロックが致命的に削るか。この一覧が、次のシングルバトルの1ターン目に「ステルスロックを優先するかどうか」への答えだ。
解除手段(こうそくスピン と きりばらい)は次の授業のテーマだが、消耗ダメージの計算は今日から交代のたびに習慣にしよう。