効果
いかりのこな は優先度+2の粉カテゴリ技。発動したターン、相手の単体攻撃技はすべて使用者へ引き寄せられる。仕組みは このゆびとまれ とまったく同じだが、「粉」という属性がある分、2つのハード免疫が生まれる。くさタイプは粉技全般に天然免疫を持ち、ぼうじんゴーグル ぼうじんゴーグルを持たせたポケモンも完全無視できる。じしん や ねっぷう のような全体技はもともと全員を巻き込むので引き寄せの対象外。変化技やフィールド系(トリックルーム・おいかぜ)も引き寄せを素通りする。
優先度+2がすべてである理由。 ダブルバトルでは1ターンに4つの行動枠がある。引き寄せは、吸収しようとしている攻撃より先に発動しなければ意味がない。優先度+2は まもる と同値で、ねこだまし の+3にしか劣らない——実戦上、あらゆる通常攻撃に先行できる。引き寄せが先に入り、そこへ単体ダメージが集まる。
「引き寄せ1ターンが得か」を数字で確かめる。 ウルガモス が ちょうのまい 1回で特攻を135→202(×1.5)まで上げたいとする。そのターン、素早さ130台の物理アタッカーに先手を取られたら台無しだ。引き寄せ役がその攻撃を肩代わりすれば、ウルガモス はノーリスクで舞える。以降、特攻202から繰り出す攻撃のすべてが、引き寄せ役が傷を受けたあのターンの「利息」になる。
採用するポケモン
引き寄せ役の大前提:自分自身に存在意義があること。脅威のない壁役は無視されるだけで、相手は素直にもう1体へ攻撃を集中させる。
ビビヨン(むし/ひこう)はChampionsで最も純粋な使用者だ。ねむりごな・ちょうのまい・いかりのこな の3枚をひとつの型に収め、先手を取れる素早さも備えている。Champions 能力ポイント システム(合計66、1項目上限32、Lv50)で素早さと耐久を両立させれば、1ターン目に眠らせて牽制し、2ターン目に引き寄せ、3ターン目に舞うというサイクルが回る。ねむりごな を1回当てるだけでターンロスが確定するため、相手は無視できない。その「無視できなさ」こそが引き寄せに価値を与える。
ウルガモス(むし/ほのお)はいかりのこなとちょうのまいを両立し、組んだパートナーと双方向の関係を築く。パートナーが引き寄せてVolcaronaが舞う。Volcaronaが引き寄せてパートナーがトリックルームやおいかぜを展開する。どちらの方向でも機能する。ちょうのまい 2積み後は特攻が135→304まで跳ね上がり、セットアップ段階を見逃した相手はすぐに代償を払わされる。
アリアドス(むし)はねばねばネットによるスピードコントロールに引き寄せを重ねた妨害特化型。自身の突破力は高くないため、タダで積みターンを得られることに大きく乗じられるパートナーが必要だ。そうでなければ相手は交代でプレッシャーをかわすだけ。
くさタイプの使用者(ヤバソチャ・スコヴィラン):どちらも いかりのこな を覚えられるが、自身がくさタイプ。そのため相手のくさタイプには引き寄せが無効になる。対面に ゴリランダー が1体いるだけでそのスロットへの引き寄せが完全に消える。これは些細な欠点ではなく、選出画面 段階で把握すべき構造的な穴だ。
使い方
基本ターンテンプレート:
- 1ターン目:引き寄せ役が いかりのこな、パートナーが ちょうのまい / トリックルーム / めいそう などを使用。相手の単体攻撃2発は引き寄せ役に集中し、パートナーはノーコストで行動できる。
- 2ターン目:相手が引き寄せを読んで全体技や交代に切り替えてきたか読む。そうなら まもる、そうでなければ引き寄せを続ける。
Protectループ。 1ターン目引き寄せ→2ターン目Protect→3ターン目引き寄せ。このサイクルは一貫して咎めにくい。Protectターンに相手が単体攻撃を撃っていれば、2発とも まもる に弾かれて無駄になる。全体技を選んで引き寄せを読み外していたとしても、そのターンはそもそも引き寄せを使わない番だ。どちらを選んでも相手の判断に不確実性を残せる。
Fake Outスタート。 ねこだまし(優先度+3)で相手の最も危険な先発を怯ませつつ、もう1体が いかりのこな を使う。1ターン終了時点:最大の脅威は怯んで動けず、引き寄せはそれ以外の攻撃を吸収済み。2ターン目、怯んだポケモンは行動を取り戻すが、引き寄せのテンポはすでに確立されている。ダブルバトルで最もよく見られる初手の型のひとつだ。
判断ポイント。 相手に先発くさタイプがいる?引き寄せ役を出すのは大抵の場合見送る。アイテム未確定の ガオガエン?ぼうじんゴーグルの可能性が高く、引き寄せに過依存しないこと。相手が ワイドガード?相手側を全体技から守るが、いかりのこな には干渉しない。ただし自分のパートナーの主力が全体技なら、お互いの打ち消しが対称になり、結局は読み合いに戻る。
引き寄せできない技のリスト。 でんじは・おにび などの変化技は本来の対象へ飛ぶ。トリックルーム・おいかぜ などのフィールド系もそのまま通る。じしん・マジカルシャイン をはじめとした全体技はターゲットが変わらない。引き寄せで動かせるのは単体攻撃だけだ。
コツと戦術
最もよくある初心者のミス:HPが減った引き寄せ役を無理やり残し続けること。 「引き寄せ役はダメージを受けてなんぼ」という発想は正しい——HPが30%を切るまでは。それ以下になると、相手の攻撃は健康な壁を無駄打ちするのではなく、着実にKO圏に近づけているだけだ。正解は まもる に切り替えてパートナーに いやしのはどう を撃ってもらうか、後ろへ引いて回復させること。Protectで生き延びた引き寄せ役は、最後の1回を引き寄せようとして倒れた引き寄せ役よりずっと価値が高い。
具体的なメタカウンター:ぼうじんゴーグル 持ちの ガオガエン。 引き寄せ軸への最も明確な単体回答がこれだ。ぼうじんゴーグルにより いかりのこな を完全に無視し、攻撃対象を自由に選べる。さらに ねこだまし と いかく で引き寄せ役のタイミングを直接崩せる——Fake Outで1ターン目の行動を封じ、Intimidateで物理アタッカーを弱体化させる。相手の ガオガエン がぼうじんゴーグルを持っているか読むことが本当に重要だ。Sitrus BerryやAssault Vestのサインがそれまでのターンに出ていなければ、ゴーグル前提で立ち回る。
チームプレビューでくさタイプを確認する。 相手がくさタイプを先発に置いてくるなら、いかりのこな・ねむりごな・キノコのほうし といった粉ツール全体がそのスロットに対して無効になる。引き寄せ役を先発から外し、粉ラインに頼らないペアで入るのが正解のケースもある。引き寄せが半分しか機能しない対面に無理矢理持ち込まないこと。
Championsでは状態異常が弱い——脆いプランを組み立てるな。 麻痺の全停止は12.5%(25%ではない)。眠りは最大3ターン。凍りは25%で自然解凍し上限3ターン。「相手が眠っている/麻痺しているから引き寄せ役がもう数ターン生き延びられる」という想定は、スタンダードより格段に崩れやすい。引き寄せ役の耐久は相手のコントロールに頼らず、チームの構成自体で担保すること。
ゼンブイリング は守られる側に渡す。 Championsルールでメガシンカは1チームに1回だけ、ゼンブイリング で発動し対応する メガストーン を持ち物として固定する。引き寄せ役がメガシンカする理由はほぼない——その価値は生きていること・脅威であることにあり、爆発的なダメージ出力にはない。ゼンブイリング は引き寄せが時間を稼いでいるパートナーに持たせてこそ、この構築の最大値が出る。