効果
このゆびとまれ は優先度 +2 を持ち、効果は一つ——相手がそのターンに味方へ向けて使う単体攻撃をすべて、強制的に自分に向け直す。シンプルに聞こえるが、ダブルバトルにおいてはこのゲームで最も重要なテンポ操作ツールだ。
ダブルバトルの根本的な矛盾はいつも同じだ:展開技——おいかぜ、つるぎのまい、トリックルーム、ちょうのまい——は 1 ターン丸ごと使う必要がある。しかし相手はそのターンを、こちらが守りたいポケモンを倒すために使ってくる。このゆびとまれ はその矛盾を断ち切る。味方は安全に行動でき、単体攻撃のダメージはすべて引き付け役に集中する。
優先度の位置づけ:+2 は通常の攻撃技すべてより速いが、ねこだまし(+3)と まもる(+4)より遅い。この数字一つが、あらゆる相性とあらゆる制約を決定する。
重要な仕様:
- 引き付けるのは単体技のみ。いわなだれ、ねっぷう などの全体技・拡散技は完全に素通りする。じしん は特にきつい——味方を含む全員を巻き込むため、引き付けを使っても相手の地震は味方にも届く。
- ひらいしん と よびみず は このゆびとまれ に優先度で負ける——両方が場にある場合、引き付けが優先される。
- 同じターンに同じ側の 2 体が引き付け技を使った場合、後から行動した方が引き付け先になる。
- 変化技、自分を対象とする技、複数対象技はいずれも影響を受けない。
数字で価値を具体化する:たとえば味方の ガブリアス が初手 つるぎのまい を使い、相手の ハバタクカミ が ムーンフォース を撃ってきたとする——満タンから当たればほぼ一撃で倒れる威力だ。あなたが このゆびとまれ でその攻撃を引き受ける。ガブリアス は攻撃 +2 の積みに成功する。次のターン、その積み状態での じしん のダメージは積みなしとは比べものにならない。引き付け役が一発食らうだけで、味方に永続的な火力倍率を付与できた。それが、引き付け役がダメージを一切出さなくてもパーティ枠に値する理由だ。
この技はシングルバトルでは使い道がない。純粋にダブルバトル専用のツールだ。
採用するポケモン
専業引き付け役——役割は完全にサポートで、技スロットはすべてその継続力か牽制のために使う:
- イッカネズミ:現在 ランクバトル ダブルでの このゆびとまれ 採用率は約 98%。理由は フレンドガード との相乗効果だ。単体攻撃は イッカネズミ に引き付けられ、引き付けを素通りする拡散技も フレンドガード によって味方へのダメージが ×0.75 に軽減される——単体技と拡散技の両方をカバーする二重の守りが完成する。ヨプのみ か きあいのタスキ で格闘技の一撃圏に対応し、いかりのまえば、フェイント、ちょうはつ で引き付け以外のターンにも相手に圧力をかけられる。脆いが万能。
- ピクシー:同様に約 98%。特性によって全く異なる 2 通りの引き付けを提供する。てんねん は相手の能力変化を無視するため、+2 だろうと +6 だろうと補正後の火力では倒されない。マジックガード 版は天気・まきびし・道具の持続ダメージを一切受けないため、場に居座る回数が大幅に増える。どちらの型でも ムーンフォース は必須——無視しようとした相手にしっかり代償を払わせることで、引き付け役が「無視していいサンドバッグ」にならずに済む。
- ヤバソチャ(いかりのこな 型):引き付け役と トリックルーム 設置役を 1 体で兼任し、シャカシャカほう で自己回復も行う。専業引き付け役と専業ルーム設置役を別々に用意できない遅い構築では特に重宝する。
攻撃的な引き付け役——サポートしながらも脅威を与える:
- ビビヨン:いかりのこな(草タイプ版のちょっとみて)+ ねむりごな+ ふくがん でねむりの命中率を実用レベルに押し上げる。1 ターン目は引き付け、2 ターン目はねむり、3 ターン目は再び引き付け——相手は常に次の行動を読みきれず、注意を分散させられる。
- ウルガモス:いかりのこな で味方を守りながら ちょうのまい で積み、積みが完成したらそのまま全抜きエースに変貌する。1 体で 2 体分の仕事をする。
最も優秀な引き付け役は、相手がそもそも優先して倒したいポケモンであることが多い——「率先してダメージを受けに行く」動きが自然に成立するからだ。
使い方
標準的な初手(ターン 1):引き付け役が このゆびとまれ を使い、味方が展開技を使うか相手の隙を突いて攻撃する。これが基本の型で、ダブルバトルの大半はここから始まる。
ターン 2 の決断ツリー:
- 相手が引き付け役を引き続き狙ってくる → HP に余裕があれば このゆびとまれ を再使用、KO 圏内なら まもる に切り替える。
- 相手が味方に的を絞ってくる → てだすけ で味方の火力を底上げするか、ちょうはつ で相手のサポート行動を封じる。
- 相手が拡散技を使ってくる → このゆびとまれ は無意味なターン。ワイドガード か双方 まもる に切り替える。
- 相手が ねこだまし 持ちを交代で出してくる → 引き付け役を守るか、ひるみが来る前に交代させる。
読み合いのサイクル:ターン 1 で引き付けを見た相手はターン 2 に再度引き付けると読み、引き付け役を直接狙ってくることが多い。そこで引き付け役に まもる を選択——相手の攻撃は空振りし、味方はまた安全にターンを使える。「ちょっとみて → まもる → 相手の読みが外れる」このサイクルは、相手がこちらを完全に読み切れていなければ現実的に 2〜3 回は機能する。
シングルとダブルの違い:シングルではこの技は使えない。シングルのラダーに上がる前に必ず外すこと。入れたままにするのは技スロットの無駄遣いだ。
体力 = 引き付け回数:引き付け役の残り HP が、あと何回引き付けられるかを直接決める。オボンのみ と たべのこし で場持ちを延ばし、きあいのタスキ ならどんな威力の攻撃が来ても最低 1 回は確実に引き付けられる。能力ポイント は HP や防御に振って、引き付け役がより多くの打撃に耐えられるようにするのも有効だ。
コツと戦術
最大の天敵:ねこだまし。優先度 +3 は このゆびとまれ の +2 より一段速い。ガオガエン や オオニューラ の ねこだまし を食らうと、引き付け役がひるんで このゆびとまれ が発動できず、味方がそのまま攻撃を受ける羽目になる。これが対戦でよく見られる引き付け封じの代表的な手段だ。対策:ねこだまし を読んだターンに味方が まもる を選択すれば、引き付けが機能しなくてもダメージを防げる。あるいは引き付け役を先に引っ込め、ねこだまし のターンをずらす。
ちょうはつ で完全に止まる:このゆびとまれ は変化技なので、ちょうはつ状態では使えない。エルフーン の先制ちょうはつや ガオガエン のちょうはつが通ると、そのターンの引き付け役は攻撃するかまもるしかできない。ちょうはつが確定したら即座に まもる に切り替えること。引き付けコマンドを無駄に入力して PP を消費しないように。
じしん の罠:イッカネズミ の最も多いパートナーの一つは ガブリアス(共存率約 46%)だが、地震は自分の味方も含む全員に当たるため、引き付けでは何もできない。相手に地震を使われると イッカネズミ にも ガブリアス にも同時にダメージが入る。初心者の直感では「いつも引き付けているから」とそのまま このゆびとまれ を選びがちだが、正解は ガブリアス が じしん を使うターンに イッカネズミ が まもる を選ぶことだ。これで ガブリアス は仲間を巻き込まずに地震を撃てる。「このゆびとまれ が正解のターン」と「このゆびとまれ が逆効果のターン」を見分けられるかどうかが、ダブルバトルの実力を分ける大きな分岐点だ。
拡散技への例外:主に拡散技で構成された構築——ダブル いわなだれ、ねっぷう、ブリザードランス が軸のパーティ——に対しては、このゆびとまれ はほとんど意味をなさない。相手は単体技を使う必要がない。チームプレビューでこのパターンに気づいたなら、そのマッチアップでは ワイドガード の方が このゆびとまれ より強力な守りになる。優秀な引き付け役のプレイヤーは、自分の十八番が通用しないと判断したら素直に役割を切り替える——負けパターンに固執しない判断力こそが上達の鍵だ。